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リチウムイオンバッテリーの充電速度を制御することで、バッテリーの寿命が延びることがスタンフォード大学の研究で明らかに

一般的にリチウムイオンバッテリーは複数のセルによって構成されて用いられているが、使用しているうちに、内部セルの劣化具合には個々に偏りが起きる事が分かっている。これがバッテリー全体の劣化を助長する訳だが、スタンフォード大学の新しい研究により、各セルが個別に充電されることで、全体がより長持ちすることが明らかになった。

パック内の個々のセルの劣化具合にバラツキが起きる理由は様々ある。例えば、製造や材料にばらつきがある結果であったり、熱源にさらされやすい場所や、冷却しにくい場所にあるセルも劣化具合に差が生じる。いずれにせよ、1つのバッテリーセルの劣化は全体の劣化を助長し、バッテリー自体を使用不能にしてしまうのだ。

スタンフォード大学ドーア校のエネルギー科学工学助教授で、リチウムバッテリーパックをより長く使えるようにするための新しい研究の著者であるSimona Onori(シモーナ・オノリ)氏は、「適切に対処しなければ、セル間の不均一性は電池パックの寿命、健康、安全性を損ない、電池パックの早期故障を誘発する可能性があります」と語っている。

急速充電や放電は電池セルにとってストレスであり、電池はそのストレスに耐えられるように設計されてはいるが、それでも弱いセルが最も早く劣化するのはこのタイミングだ。そこでスタンフォード大学の研究チームは、電池のすべてのセルを同じ速度で充電するという標準的な技術が、電池の寿命を早めているのではないかと考えた。

この新たな研究の着想は、Tesla(テスラ)社が「100万マイル走れるバッテリー」の製造に着手している事から得られたとのことだ。

「100万マイルバッテリーのコンセプトは、実は新しい化学物質ではなく、充電範囲を完全に使用させないことでバッテリーを運用する方法だと、後に説明されました」とOnori氏は言う。つまり、バッテリーを0-100の範囲で使うのではなく、20-80の部分で使う運用法だ。これは、一般的にリチウムイオンバッテリーを長持ちさせる運用法として知られている。

そこでOnori氏は、研究室の2人の研究者とともに、既存の電池を工夫して管理することで、数百または数千個の電池を含むフルバッテリーパックの性能と寿命がどのように改善されるかを調査することにした。

研究チームは、この仮説を検証するためにコンピュータ・モデルの設計を入念に行い、前例のない詳細なシミュレーションを完成させた。研究チームは、電池の物理的・化学的状態を正確に表現するとともに、数秒で起こる変化から数ヶ月または数年かかる変化まで、電池の寿命全体にわたってさまざまなストレスに関連して起こる変化を表現しようと試みた

「私たちの知る限り、私たちが作成したような高忠実度でマルチタイムスケールの電池モデルを使用した研究は、これまでありませんでした」とOnori氏は語る。

このモデルを用いて、研究チームは、標準的なセットレート充電方式と他の方式を比較するシミュレーションを何度も行った。この方式では、個々のセルの容量が、それがどの程度の充電に耐えられるかを示す指標となる。つまり、最も強いバッテリーセルだけに最も大きなストレスを与え、何らかの理由で早く劣化し始めたセルにはより優しく接することで、最終的な劣化を食い止めるという理論である。

研究チームは、各セルの充電速度を個別に設定することで、温度上昇とセルの劣化を最小限に抑え、急速充電を頻繁に行った場合でも、一様に充電するバッテリーよりも少なくとも20%多い充放電サイクルに対応できることを見出した。

研究者らは、この充電モデルは既存の電気自動車の設計に簡単に導入でき、次世代バッテリー管理システムの開発にも利用できるとしている。また、同じモデルを放電サイクルにも適用し、弱いセルにはより少なく、強いセルにはより多く充電することで、高いストレス負荷にさらされるバッテリーパックの寿命にさらなる利点をもたらすことができるとしている。実際、この研究の著者の一人は、現在、eVTOLの開発企業であるArcher Aviation社でバッテリー研究者として働いている。電動垂直離着陸機(eVTOL)と呼ばれるドローン型の航空機は、今後10年間でエアタクシーやその他の都市型航空移動サービスを提供することが期待されている。リチウムイオン二次電池の用途は、一般航空や再生可能エネルギーの大規模な貯蔵など、まだまだ広がっている。

「リチウムイオン電池は、すでに多くの点で世界を変えています。この革新的な技術とその後継技術から、できる限りのものを引き出すことが重要なのです。」とOnori氏は述べている。

研究の要旨

本論文では,アクティブバランシング回路を備えた直列接続されたセルからなるリチウムイオン電池モジュールに対する多目的高速充電-最小劣化最適制御問題(OCP)を定式化し,その解を求める。モジュール内のセルは,製造上の欠陥と不均一な動作条件によって引き起こされる不均質性を持つ。各セルは非線形電気化学、熱、経時変化の結合モデルで表現され、OCPを非線形計画問題(NLP)に変換するために直接コロケーションアプローチが採用される。提案するOCPは、2つの異なる充電操作スキームの下で定式化される。1) 同一充電時間(OCP-SCT)と2) 異なる充電時間(OCP-DCT)である。前者は初期状態に関係なく全セルが同時に充電されることを仮定し、後者は初期状態の不均一性を考慮してセルの充電時間を異ならせるものである。この問題を、充電状態と健康状態が本質的に異なる2つの直列接続されたセルを持つモジュールについて解いた。その結果、OCP-DCT方式は、温度上昇、充電電流振幅、劣化の低さを誇り、異質性に対処するための柔軟性を提供することが分かった。最後に、一般的な定電流(CC)充電と長期のサイクル運転との比較から、両制御方式(OCP-SCT および OCP-DCT)において、保持容量という点で有望な節約が可能であることが示された。

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この記事を書いた人

TEXAL管理人。学校の授業でMS-DOSを使っていたくらいの年代。Windows95の登場で衝撃を受け、テクノロジー業界に興味を持つ。以来ガジェット・ゲーム情報を追い続けてうん十年。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題も大好き。

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