NASA、12年間の宇宙の変化を示すタイムラプスムービーを提供

このモザイクは、広視天を野赤外線サーベイ探査機WISEが2012年に公開した全天観測データのうち、全カバーする画像で構成されている。全天を観測することで、遠方銀河などの暗い天体の探査や、宇宙天体の集団の探査が可能となる。(Credits: NASA/JPL-Caltech/UCLA)

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宇宙は130億年以上の歴史を持つので、そのうちの12年間は何事もなかったように思えるかもしれない。しかし、NASAのタイムラプス動画は、わずか10年あまりの間にどれほどの変化があるかを示している。星は脈打ち、小惑星はその軌道をたどり、遠くのブラックホールはガスや塵を自分たちのほうに引き寄せて燃え盛る。

NASAは2009年にWISE(Widefield Infrared Survey Explorer)を打ち上げた。WISEは星団や数千個の矮小惑星を発見し、地球のトロヤ群小惑星の発見などにも貢献した。2011年にWISEの冷却材がなくなったため、NASAはWISEを冬眠状態にした。しかし、WISEの赤外線検出器の一部はまだ動作していた。そこで、2013年にNEOWISE(Near-Earth Object Wide Field Infrared Survey Explorer)として再稼働させたのだ。NEOWISEの主な目標の一つは、既知の小惑星2,000個の特性を明らかにすることだった。

そのために、探査機は広視野の観測を行った。NEOWISEは6ヶ月ごとに夜空を1枚ずつ撮影する。NASAは、10年以上にわたって撮影されたこれらの全天画像18枚を組み合わせて、夜空のタイムラプスを作成した。この画像には、数億個の天体が写っている。

アリゾナ大学ツーソン校のNEOWISE主任研究員Amy Mainzer(エイミー・メインザー)氏は、「外に出て夜空を眺めていると、何も変わらないように思えるかもしれませんが、そうではありません星は燃え上がり、爆発しています。星は燃え、爆発し、小惑星は飛び交い、ブラックホールは星を引き裂く。ブラックホールは星を引き裂いています。宇宙は本当に忙しく、活発な場所なのです。」と語る。

このミッションの科学への大きな貢献のひとつが、褐色矮星の研究だ。褐色矮星は恒星とまではいかないが、恒星になる途中の亜恒星だ。褐色矮星は恒星になる途中の天体ですが、水素の融合を起こすほどの質量は持っていない。褐色矮星は恒星よりも小さく、最も大きな惑星よりも大きい。質量は約13から80木星質量の範囲にある。

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褐色矮星は、惑星としては大きすぎるが、恒星としてはまだ十分な質量がない。(Credit: NASA/JPL-Caltech)

宇宙物理学者は褐色矮星の存在を理論的に説明していたが、赤外線観測でしか見つけることができなかったのだ。しかし、地表から赤外線で観測するのは難しく、2MASSの観測でいくつかの褐色矮星を発見することができた。現在では、WISE/NEOWISEなどの赤外線観測装置により、数千個の褐色矮星を発見している。

褐色矮星は星と惑星の橋渡しをする天体で、天体物理学者は最も温度の低い褐色矮星に関心を寄せている。褐色矮星はスペクトルクラスYに分類され、ほとんどエネルギーを発しない天体だ。最も冷たいものは、室温より少し高いくらいだ。WISEは2011年にこのY級褐色矮星を発見した。

NASAは、WISEとNEOWISEのデータを統合し、CATWISEという1つのカタログを作成した。2019年、このカタログを検索していた科学者たちが、推定温度270~360K(?3~87℃、26~188°F)のさらに低温の褐色矮星、CWISEP J1935-1546を発見したのである。

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冷たい褐色矮星のイメージ図 (Credit: ASTRON / Danielle Futselaar)

NEO/NEOWISE の褐色矮星の活動には、市民科学者も一役買っている。市民科学者は、これまでに発見された中で最も珍しい2つの褐色矮星を見つけることに貢献した。これらはT型亜矮星と呼ばれ、科学者とボランティアが「バックヤード・ワールド」プロジェクトの一環として2020年に発見した。

2020年、「NEOWISE」の科学者たちは、これまでで最も奇妙な褐色矮星を発見した。たまたま見つけたので、「アクシデント」と名付けた。アクシデントは、100億年から130億年前の古い星で、金属量が非常に少ないのが特徴だ。あまりに古いので、現代の宇宙というより、初期の宇宙を反映しているようだ。星の世代が何十億年もかけてより重い元素を作り出し、それを宇宙空間にばらまいたため、より新しい時代に作られた天体は金属度が高くなるのだ。

この「アクシデント」は、このような古代の褐色矮星を発見した最初の例だが、おそらく最後でもないだろう。このような褐色矮星は、まだまだたくさんあり、NEOWISEのデータの中にも隠されているかもしれない。

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宇宙空間に浮かぶ薄暗く冷たい褐色矮星を描いた想像図。褐色矮星は恒星のように形成されるが、核融合(恒星が燃える過程)を起こすのに十分な質量を持っていない。そのため、木星のような大質量の惑星と同じような物理的特徴がある。 (Credit: IPAC/Caltech)

NEOWISEのミッションは予想以上に長く続いた。NASAが「WISE」として打ち上げたときは、冷却水がなくなるまで2年程度と考えられていた。しかし、NEOWISEとして再出発した後は、10年間もミッションが続いているのだ。「WISE」の科学者も、このミッションの長さとデータの多さには驚いている。

NASAジェット推進研究所の天文学者であり、WISEプロジェクトサイエンティストのPeter Eisenhardt(ピーター・アイゼンハート)氏は、「探査機がこれほど長く運用されるとは思ってもいませんでしたし、これほど多くのデータで科学ができるとも思ってもいませんでした」と語っている。

もしあなたが、科学者がNEOWISEの全データを利用し、「アクシデント」のようなとらえどころのない古代の褐色矮星を見つけることに興味があるなら、「Backyard Worlds: Planet Nine」をチェックしてみて欲しい。

この記事は、Universe Todayに掲載されたものを、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示4.0 国際)に則り、翻訳・転載したものです。元記事はこちらからお読み頂けます。

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