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人間の脳が量子力学的な振る舞いをしていることを示唆する結果が観測される – 意識の謎の解明に繋がることが期待

ダブリン大学・トリニティ・カレッジ(TCD)の研究者らの新しい研究によると、これまで仮説でしかなかった脳の処理に量子力学的な振る舞いが関わっているとする事象を、特殊な方法によるスキャンによって初めて観測したとのことだ。

この研究は、10月7日付のJournal of Physics Communicationsに掲載され、科学者にとっていまだ謎である意識に関する新たな知見を提供する可能性がある。

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人間の脳に生じる意識の謎については、今までも様々な研究が行われてきた。中でも有名な物には、「量子脳理論」という物があり、脳の振る舞いや意識には、“量子力学的な性質が深く関わっているのではないか”とする物がある。これは、数学・物理学の分野おいて数多くの業績を残し、ノーベル物理学賞を受賞したRoger Penroseロジャー・ペンローズ)博士らが提唱した物で、特にPenrose博士の記した著作『皇帝の新しい心』によって、一般にも知られるようになった。

Stuart Hameroff(スチュワート・ハメロフ)氏との研究も行われたが、しかしこれは仮説の域を出ず、決定的な実験的証拠も未だになく、理論自体にも多くの批判があるのが現状だ。

今回のTCDによる研究成果は、この脳の意識の謎に一石を投じることになりそうだ。今回測定された脳機能と意識的な意識・短期記憶機能との相関は、量子力学的プロセスが認知・意識的な脳機能の一部でもあることを示唆するものである。

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トリニティ・カレッジ神経科学研究所(TCIN)の主任物理学者であるChristian Kerskens(クリスチャン・カースケンス)博士によると、今回の測定に際しては、「量子重力の存在を証明する実験のために開発されたアイデアを応用した」とのことだ。

「既知の系が未知の何かと量子もつれ(エンタングルメント)を起こすのであれば、その未知の系も量子的であるはずです。これにより、未知のものを測定するという難題に挑むことができます」とKerskens氏は述べている。

今回の実験で、彼らは脳内の水分にある陽子スピンを特殊なMRIによって観察した。Kerskens氏は以下のように説明する。

「『脳の水』は、脳内の液体として自然に蓄積され、その陽子スピンはMRI(磁気共鳴画像法)で測定することができるのです。そして、絡み合ったスピンを求めるために特殊なMRIの設計をすることで、脳波の信号の一種である心拍誘発電位に似たMRI信号を発見したのです。脳波は脳の電流を測定するもので、経験的に、あるいはテレビで病院ドラマを見ただけで知っている人もいるかもしれません。」

研究チームは、脳内の核陽子スピンがもつれ合っていたからこそ、心拍誘発電位などの電気生理的電位が発見できたと考えている。通常、このような電気生理学的電位はMRIでは検出できない。

「もし、量子もつれが唯一の説明であるならば、脳のプロセスが核スピンと相互作用し、核スピン間の量子もつれを媒介したことを意味します。その結果、それらの脳機能は量子力学的なものでなければならないと推論できるのです。」

この研究チームの発見の検証には、高度に洗練された学際的な手法が必要となるだろうが、これにより脳の機能に関する一般的な理解が深まり、おそらく脳の保存や修復の方法さえも明らかになるであろう。また、新しい技術の発見により、より高度な量子コンピュータの開発につながる可能性もある。

「量子的な脳プロセスは、不測の事態や意思決定、新しいことを学ぶ時に、なぜ我々がスーパーコンピューターを未だに凌駕できるのかを説明できるかもしれません。シュレーディンガーが生命に関する有名な考えを発表した講義室からわずか50メートルしか離れていない場所で行われた我々の実験は、生物学の謎と、科学的にはさらに解明が困難な意識に光を当てることができるかもしれません。」と、Kerskens氏は述べている。

研究の要旨

量子重力学における最近の提案では、媒介者自身が非古典的である場合、未知の系が2つの既知の量子系間のもつれを媒介できることが示唆されている。このアプローチは、意識と認知における量子操作について長い間推測されてきた脳にも適用できるかもしれない。バルク水のプロトンスピンは、脳の機能を阻害する可能性が高いが、既知の量子系として振る舞うことができる。未知の媒介者が存在する場合、多重量子コヒーレンス(MQC)に基づくNMR法は、エンタングルメントの目撃者として機能することが可能である。しかし、今日のNMR信号が一般に、特に脳環境において量子相関を含むことができるかどうか疑問がある。ここでは、ゼロ量子コヒーレンス(ZQC)に基づく証人プロトコルを用いて、古典信号を最小化し、量子相関のNMR検出限界を回避することを試みた。その結果、脳のほとんどの部位で、心拍誘発電位(HEP)に類似した誘発信号が短時間の繰り返しで検出された。これらの信号は、古典的なNMRコントラストとは相関がないことがわかった。HEPsと同様に、誘発信号は意識に依存したものであった。NMRでは、意識に関連した信号や電気生理学的な信号は知られていません。驚くべきことに、これらの信号は磁化の局所的な性質が低下した場合にのみ現れるのである。この結果は、意識に関連した脳機能によって媒介されるエンタングルメントを目撃した可能性を示唆している。その場合、それらの脳機能は非古典的に動作しているはずであり、それは意識が非古典的であることを意味する。

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この記事を書いた人

TEXAL管理人。学校の授業でMS-DOSを使っていたくらいの年代。Windows95の登場で衝撃を受け、テクノロジー業界に興味を持つ。以来ガジェット・ゲーム情報を追い続けてうん十年。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題も大好き。

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