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ブラックホールが何年も前に星をむさぼり食ったあとに、“ゲップ”と共に吐き出す様子が観測された

潮汐破壊現象(TDE)のイラスト (Image Credit: DESY/Science Communication Lab)

早食いや、炭酸飲料を飲んだ際にゲップが出るのは誰しも経験した事があると思うが、どうやらゲップをするのは生物だけではないようだ。最近の研究で、ブラックホールも“ゲップ”をする事が明らかになった

アインシュタインの一般相対性理論で予言されたブラックホールは、既知の宇宙で最も極端な天体だ。

星が寿命を迎えて外層を吹き飛ばされたときに形成され、重力が非常に強いため、光さえもその表面から逃れることができないことから、“ブラックホール”と名付けられた。

この天体は、定期的に星やその周辺の天体を食い尽くすことが、これまでの観測から明らかになっている。ブラックホールが星を食べると、強い重力によって物質が長く引き伸ばされ、「スパゲッティ化現象」と呼ばれる現象が起こるが、正式には潮汐破壊現象(TDE)と呼ぶ。この現象は、光や電波などの明確なシグナルを発生させ、天文学者は数週間から数ヶ月続くバーストとして検出することができる。

2018年10月、オハイオ州立大学の天文学者によって、超新星のための全天自動調査(ASAS-SN)が行われた際に、地球から6億6500万光年の距離で、AT2018hyzとして知られるTDEが検出された。その後国際チームがこのTDEについて研究を行った。この現場では、太陽のわずか10分の1の質量の星が、約6億6500万光年離れたブラックホールに飲み込まれているのが観測された。この種の出来事としては、ごくありふれたもので、数ヶ月程度でバーストも終了したため、天文学者は気にもとめなかった。

だが、ハーバード&スミソニアン天体物理学センターの別のチームは、3年後の2021年6月に同じブラックホールを調べたときに、前例のないことに気づいたのである。なんと、ブラックホールが突然電波を発し始めたのだ。この電波は、ブラックホールが星を切り刻んだときに宇宙空間に放出された物質が放出したものと思われるが、通常は最初の現象から数日または数週間で現れ、数年後に現れるものではない。

「まるで、このブラックホールが、何年も前に食べた星から、突然、大量の物質を吐き出し始めたかのようです。」と、論文の主執筆者であるイベット・センデス(Yvette Cendes)氏は述べている。

「このような現象はこれまで誰も見たことがありません。このような予想外の現象を発見した場合、通常の望遠鏡の提案サイクルを待たずに観測を行うことができるのです。すべての申請がすぐに受理されました。」とセンデス氏は、当時の天文学会がこの発見に沸いた様子をプレスリリースで述べている。

その後、研究チームは複数の望遠鏡と複数の波長で、AT2018hyzの追跡観測を実施した。

ハーバード大学およびCfAの天文学教授で、今回の研究の共著者であるエド・バーガー(Edo Berger)氏によれば、TDEの電波観測が最も印象的であったとのことだ。

「私たちは10年以上にわたって電波望遠鏡でTDEを研究しており、星がブラックホールに飲み込まれる過程で物質を噴出する際に、TDEが電波で輝いていることを発見することがあります。しかし、AT2018hyzでは最初の3年間は電波の沈黙が続いていましたが、今では劇的に光り輝き、これまで観測された中で最も電波的に明るいTDEの1つになっています。」

研究チームは、これは、ブラックホールが相対論的速度(光速の数分の一)で星から残留物質を放出した結果であると結論付けている。

このような現象が観測されたのは初めてで、研究チームは、なぜ流出が数年遅れたのかについては不明としている。

通常TDEは、星から流れ出た物質がブラックホールの周囲で細長くなり、熱を持つことで数百万光年離れた場所で閃光を放つ現象で知られている。

このような現象は、ブラックホールの“食べ方がだらしない”ことに由来している。しかし、このような流出現象は、通常TDEが起きた後すぐに発生し、何年も経ってから発生するものではない

つまり、このブラックホールは、何年も前に食べた恒星物質を突然吐き出し始めたようなものだと、センデス氏は言う。

さらに、この「ゲップ」は非常にエネルギーが高く、放出された物質の速度は光速の50パーセントにも達し、天文学者が他のTDEで観測した速度の5倍にもなるそうだ。

バーガー氏は、「このように、星への供給と流出の間に長い遅延があることを目撃したのは初めてです。次のステップは、これが実際にもっと定期的に起こっているのか、我々は単に進化の遅い段階でのTDEを見ていないだけなのかを探ることです。」と述べている。

この結果は、類似の現象の観測と合わせて、ブラックホールの摂食行動に関する理解を深めるのに役立つと考えられる。また、ブラックホールが時間とともにどのように成長し進化していくのか、また銀河の進化においてどのような役割を果たしているのかを知る手がかりになると期待される。

研究の要旨

我々は潮汐破壊現象AT2018hyzの電波・ミリ波(光学・紫外線・X線)の後期検出を、光学的発見から970-1300日の間に行った。その結果、0.8-240GHzにおいて、Fν∝t5よりも急峻に上昇する発光が観測された。このような急上昇は、ディスラプション発生時に発生したアウトフロー(軸ずれジェット、周囲の密度上昇など)の合理的なシナリオでは説明できず、遅れて発生したことを示唆する。今回の多周波データにより、電波を出すアウトフローの半径とエネルギーを直接決定することができ、モデリングにより、アウトフローは光学的発見から約750日後に打ち上げられたことが分かりました。アウトフローの速度は軽度の相対論的速度であり、球形形状と10°ジェット形状の場合、それぞれβ ≈ 0.25 と ≈ 0.6 であり、最小運動エネルギーはそれぞれ EK ≈ 5.8 × 1049 と ≈ 6.3 × 1049 ergであることがわかった。これは、TDEにおける遅延した軽度の相対論的アウトフローの生成に関する最初の決定的な証拠だ。最近発表されたASASSN-15oiの電波ライトカーブと比較すると、その事象で観測された最後の増光(単一の周波数と時間)は、同等の速度とエネルギーを持つ同様のアウトフローによるものかもしれないことが示唆される。最後に、AT2018hyzの遅延型アウトフローのエネルギーと速度は、過去の非相対論的TDE(ASASSN-14liやAT2019dsgなど)と相対論的TDE Sw J164+57の中間であることに注目します。このような遅延したアウトフローは、TDEではよくあることかもしれないことを示唆している。

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この記事を書いた人

TEXAL管理人。学校の授業でMS-DOSを使っていたくらいの年代。Windows95の登場で衝撃を受け、テクノロジー業界に興味を持つ。以来ガジェット・ゲーム情報を追い続けてうん十年。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題も大好き。

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