NASAは9月27日、小惑星に宇宙船を衝突させる実験を実施する予定

NASAの小惑星探査機DART(Double Asteroid Redirection Test)が連星系ディディモス(Didymos)に衝突する前の図(Image Credit:NASA/Johns Hopkins APL/Steve Gribben)

9月26日、NASAのダブル・アステロイド・リダイレクト・テスト(DART)地球近傍小惑星(NEA)「ディディモス」にランデブーする。協定世界時23時14分(日本時間:翌27日午前8時14分)までに、この宇宙船は小惑星の周りを回る小さな月(ディモルフォス)に衝突し、惑星防衛のための「キネティック・インパクター」方式をテストする予定である。この方法は、探査機が小惑星に衝突して軌道を変更し、地球に衝突するような軌道から小惑星をそらすというものだ。このイベントの模様は全世界に生中継され、ターゲットに衝突するまでの最後の12時間のDARTのデータストリームを見ることができる。

衝突時、DARTは地球から1,100万kmの距離にあり、時速22,000kmで飛行している予定だ。ディモルフォスは幅が140〜200メートルと、ギザのピラミッドとほぼ同じ大きさなので、衝突させるのは容易ではない。実際、DARTミッションは衝突の1時間前まで、ディモルフォスとその母天体の区別がつかない。この時点で、探査機は自律的な誘導と航法制御システムに頼って、衝突に備えた位置取りをしているのだ。

衝突までの最後の数時間、DARTは地球の地上局に画像を送り続け、ディモルフォスがゆっくりと視界に収まっていく様子を映し出す。また、ESAのエストラックネットワークとNASAのDeep Space Network (DSN)を使って、打ち上げに向けた追跡を強化している。エストラックネットワークは、ESAの4局(クールー(フランス領ギアナ)、キルナ(ノルウェー)、レドゥ(ベルギー)、サンタマリア(ポルトガル))、DSNの3局(ゴールドストーン(カリフォルニア)、マドリッド(スペイン)、キャンベラ(オーストラリア))で構成され、その中核をなすのがエストラックだ。

ネットワークは、世界各地にある11の地上局(「協調ネットワーク」)と、世界の遠隔地にある5つの局(「拡張ネットワーク」)によって強化されている。エストラックとDSNは、DARTミッションがアンテナから見える時間帯に、毎日1時間程度通信を行っている。また、オーストラリアにあるESAのDeep spaceアンテナは、DARTから毎月の状況報告を受け、NASAのミッションコントロールに欠かせない、状況、位置、コマンドの最新情報を提供している。

最後の12時間(とその後の数時間)の間、オーストラリアのESAのニューノルキア深宇宙アンテナ1(DSA 1)は、ESA DART サービスマネージャの Daniel Firre 氏が最近の ESA プレスリリースで説明しているように、継続的にデータと画像を提供する予定だ。

「DARTの最終段階においてカバレッジにギャップがないことがミッションの成功に不可欠であるため、世界中のアンテナは一体となって、お互いをバックアップし、NASAのディープスペースネットワークのカバレッジのギャップを埋めることになります。我々は一瞬たりともDARTとのリンクを失うことはできません。」

また、オーストラリアのキャンベラ、カリフォルニアのゴールドストーンに設置されたDSNアンテナとの組み合わせで、地理的な三角形が完成する。これにより、ミッションコントローラは、デルタ差分一方向距離(デルタDOR)方式と呼ばれる、それぞれの場所から同時にDARTを追跡し、その位置、方向、速度について非常に正確な測定値を得ることができる。

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DARTミッションが目的である二重小惑星系ディディモスに接近して飛行している様子を示すグラフィック(Image Credit: ESA)

ニューノルシア地上局のメンテナンス&オペレーションマネージャーであるSuzy Jackson氏は、こう説明する。

「オーストラリアの巨大アンテナは、DARTがディモルフォスに衝突したとき、その様子を中継しています。最後の数分間は、搭載されているDRACOという観測機器からデータが流れ込んできます。このデータから、小惑星の質量や表面の種類、衝突地点などが推定されます。また、NASAのミッションコントロールでは、DARTからのデータを使ってミッションのパラメータを調整するため、できるだけリアルタイムに近い情報が届くことが重要なのです。」

この衝突は、イタリア宇宙庁(ASI)が提供するCubeSatミッション、Light Italian CubeSat for Imaging of Asteroids (LICIACube)によって目撃される予定だ。この14kgの衛星はDARTに同乗し、インパクターがディモルフォスに衝突する15日前に切り離され、衝突の様子や放出された物質の雲を撮影する。また、ESAは2024年10月に探査機「ヘラ」を打ち上げ、2026年12月までに小惑星にランデブーし、DARTミッションが成功したかどうかを示すDimorphosの軌道の変化を測定する予定である。

また、ヘラ探査機は、衝突クレーターの詳細な分析、親小惑星の質量、その他の実験を行い、キネティック・インパクトの手法が有効であるかどうかを判断する予定だ。もしすべてが計画通りに進めば、科学者たちは、潜在的危険性を持つ小惑星(PHA)から地球を守るための重要な戦略を検証することになる。このような方法は、人類と地球を故郷とする無数の種が、予見可能な将来にわたって地球に住み続け、繁栄し続けるために不可欠なものだ。

このイベントは、日本時間9月26日午後8時からNASA TVが生中継し、NASAのウェブサイト、FacebookTwitterYouTubeで視聴することができる。このイベントは、日本時間9月27日午前2時から、ESA Web TVでも同時にライブ放送される予定だ。さらに、宇宙物理学者でクイーンのギタリストでもあるBrian Mayが、人類初の二重小惑星探査ミッションであるヘラミッションのストーリーと意義を語っている。

この記事は、Universe Todayに掲載されたものを、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示4.0 国際)に則り、翻訳・転載したものです。元記事はこちらからお読み頂けます。

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この記事を書いた人

TEXAL管理人。学校の授業でMS-DOSを使っていたくらいの年代。Windows95の登場で衝撃を受け、テクノロジー業界に興味を持つ。以来ガジェット・ゲーム情報を追い続けてうん十年。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題も大好き。

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