水あかを防ぐ方法を研究者が発見

台所のシンクや浴室、洗面台、鏡など、水回りに必ずと言っていいほどついて回る悩みと言えば、「水あか」だ。鏡やガラスと白く曇らせるこの厄介な水あかは、どうやらこれまで考えられていたよりも複雑なメカニズムだったようだ。

今回、ドイツのフリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルク(FAU)の研究者が率いる国際的なチームによって、石灰化のメカニズムと、水あかの蓄積を根本的に防ぐために必要な物質を明らかにした。また、このことは自然界における、石灰生成に生物が与える影響についても明らかにしている。

グラスに残る乳白色の膜など、石灰化の前に発生する結晶は、水が乾いて固形物が残ることで形成される。これまで、食洗機用の洗剤では、リン酸塩を加えることで、食器洗機での水あか付着を防いできた。しかし、リン酸塩は肥料にもなるもので栄養価が高く、遅かれ早かれ排水を通して川や海へ運ばれることで、水を栄養豊富なものにする。その結果、ある種の藻類が急速に繁殖し、藻類の大発生を招き、他の生物や植物が大量に死滅する可能性があるのだ。

そういったこともあり、食器用洗剤へのリン酸塩の使用を控えることが叫ばれており、FAUの研究者であるPriv.Doz.ガラス・セラミックス学部のStephan E Wolf博士と理論化学のDirk Zahn教授が率いるFAUの研究者たちは、リン酸塩やその他の一般的な成分が、石灰の残留を防ぐ方法を調査した。今回の調査では結果として、複雑なメカニズムが具体的にどのように機能し、それらがどのように完璧に補完し合って、結果的に石灰の付着を防ぐのかを実証することができたとのことだ。

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(上)採用した低分子量添加剤の分子構造。添加剤存在下での高速沈殿後の生成物の中型SEM画像。すべての粉末は非晶質であった。(下)15分熟成後に回収した生成物。EDTA、MGDA、CITで生成した粉末は、カルサイトとベーターサイトの混合物に変化した。CPTC、HEDP、TPPの存在下でのみ、粉末は非晶質のままであった。

結果、リン酸塩とよく似た働きをしながらも、より環境にやさしい物質が提案された。この物質は、水あかの原因となる石灰の付着を妨害し、より無秩序にし、組織化された結晶がカルシウムイオンや炭酸イオンと結合して、安定した組織を形成するのを妨げる事に成功した。これにより、石灰の堆積を完全に防ぐか、または構造が無秩序化されることで溶解しやすくなり、結果的に除去しやすくなるとのことだ。

また、研究チームは、石灰の沈着を防ぐメカニズムを解明しただけでなく、石灰がどのように形成されるのかについて新たな知見を得ることも出来たという。「石灰ができるプロセスは、私たちが想像していたよりもずっと複雑であることがわかりました」と、Dirk Zahn教授は説明する。

この新しい知見は、自然界における石灰生成に生物が与える影響についても理解するのに役立つ。例えば甲殻類は、殻を形成して生き残るために、石灰の生成をコントロールする必要がある。「特に気候変動を考慮すると、サンゴや貝、海産腹足類など、石灰を分泌する生物を十分に保護するためには、何が特に有害なのかを理解しなければなりません」と、Wolf博士は述べている。

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この記事を書いた人

TEXAL管理人。学校の授業でMS-DOSを使っていたくらいの年代。Windows95の登場で衝撃を受け、テクノロジー業界に興味を持つ。以来ガジェット・ゲーム情報を追い続けてうん十年。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題も大好き。

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