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スタートアップ企業「Lightmatter」の“電気配線なし”でチップを繋げる驚異のテクノロジー

Samsungが業界初の3nmプロセスのGAAチップを製造開始しTSMCも9月に3nmプロセスの製造を開始すると伝えられているなど、チップの微細化は留まるところを知らないが、そのスピードはこれまでに比べて鈍化してきており、ムーアの法則の終焉がこれまで何度もささやかれてきた。

AMDやIntelと言った半導体チップメーカー各社は、ムーアの法則を継続させるために、チップレットテクノロジーを活用して同一基板上に複数のチップを搭載することで、高性能化を進める道を歩み始めているが、これらのチップ同士を接続するには、電子を運ぶ電線が必要となるが、電子が移動するということは、半導体の抵抗によって温度が上昇し、消費電力が増えることにも繋がる。これは根本的な問題であり、解決するにはそもそも「電子」を用いないことが必要になるが、今回スタートアップ企業のLightmatter社が開発したフォトニクステクノロジー「Passage」は、まさに電線を用いずにチップ同士を接続する画期的な物だ。

現在主流であるシリコンベースのトランジスタは、サイズが小型化するにつれて、温度密度の上昇(より小さな面積に多くのトランジスタがあるため、より多くの熱が発生する)や、さらには、より小さく、より速いトランジスタを密集させることで自然に発生するその他の問題にも対処しなければならない。

TSMCのInFO_LIIntelのFoveros 3Dなどのチップレット技術により、が可能になったが、電気配線が必要なこれら技術は根本的な発熱の問題を抱えている。The Registerが取り上げたように、Lightmatterは、電気配線なしでチップを接続するという別のアイデアをもって、この問題を根本的に解決するとのことだ。

Lightmatter社の創業者兼CEOであるNicholas Harris氏は、HotChipsのプレゼンテーションで、「電気的に相互接続されたチップのアレイは、消費電力の連結など、根本的な問題を抱えている」と述べている。

この問題は明確で、これまでにも認識されてきた。1つのパッケージに接続されるチップレットの数が増えれば増えるほど、計算に必要なデータをやり取りするために、それらのチップレットが互いに接続しなければならない相互接続の数が増える。これにより、発熱が増大する。そして、電気は高速な媒体ではあるが、最速というわけではない。

LightmatterのPassageテクノロジーは、Nanophotonic Waveguideを介して異なるチップを相互接続することで、フォトニクスをチップレット時代に持ち込むことを目的としている。この技術では、一般的な電子の代わりに光子を用いて情報を伝達するため、信号の損失が極めて少なく、帯域幅も大幅に向上する。

CPUではIntelに先駆けてチップレット設計を導入している、AMDも、自社のアーキテクチャで情報伝達を可能にするフォトニクス設計を模索している。一方、Intelは、研究センター全体をフォトニクスに充てている。

「Passageは、レーザー、光変調器、フォトディテクタ、トランジスタをすべて並べてプラットフォームに統合した300mmシリコンフォトニクスウェハから切り出されます」とHarris氏は続ける。

Lightmatter 300mm CMOS Fab
Lightmatter 300mm CMOS ファブ(Credit: Lightmatter)

そして、相互接続されるチップレット(ASIC、CPU、GPU、メモリチップなど)は、このフォトニクスを利用した「サンドイッチ」の上に敷き詰められる。

「Passageはレーザーとトランジスタを集積しているため、コ・パッケージングされたチップは、送受信や回路切り替えのフォトニクス素子の複雑さに対処する必要がありません。Passageの各タイルには、異種チップのアレイを格納することができます。例えば、1つのタイルに2種類のASICと、2つのHBMスタックを入れることができるかもしれません。」とHarris氏は言う。

Lightmatter Passage at HC34 Expand
Passageの内部構造(Credit: Lightmatter)

同社は、そのアプローチにより、ポイント間の距離に関係なく、情報の出口と入口の間で2ナノ秒以下のホップタイムをもたらすとしている(つまり、最も遠いチップも最も近いチップと同じくらい速く通信することになる)。Lightmatter社が使用するNanophotonic Waveguidesは、従来の光ファイバー相互接続に比べて、はるかに小さいという利点がある。同社によると、光ファイバー1本分のスペースに40ものWaveguidesを収めることができるという。

Lightmatter Optical Fibers versus nanophotonic waveguides
一般的な光ファイバーケーブルとLightmatter社のNanophotnic Waveguidesの比較(Credit: Lightmatter)

Lightmatter社によると、これにより各ダイに96TBpsの帯域幅を提供することができるという。AMDのInfinity Fabricの最大理論帯域幅800Gbpsと比較して、その桁違いの性能に驚く。オフチップ通信(Passageからファイバーアレイを経由して他のシステムへ)は、ピークで約16TBpsになる。

さらに、Passageは完全にカスタマイズ可能なインターコネクト・オン・パッケージであるため、メーカーは独自のインターコネクトデザイン(AMDのInfinity FabricやIntelのEMIBなど)を設計する必要がない。最大48個のフルレチクルチップ(フルレチクルとは、製造工程で可能な限り大きな面積を占有できるチップのこと)を搭載でき、それらの間に既存のインターコネクトを提供するフォトニクス搭載のPassageにデバイスをドロップするだけで良いのだ。

フォトニクスでありながら、Passageに搭載されるチップは従来のシリコンベースのトランジスタタイプであり、電気的な通信が必要だ。これは、TSV(Through Silicon Vias)を使用することで、ダイに電力を供給し、PCIeとCXL規格をサポートすることにもなる。

光スイッチングの様子

ムーアの法則は死んでいないが、それはチップ設計者の創意工夫によるもの賜物のだ。Lightmatterのアプローチは、素晴らしい技術ではあるが、大手チップメーカーが多額の資金とエンジニアリング資源を投じて自社技術を開発している中で、同社の技術を採用することにどれだけ積極的になれるかが問題となるだろう。

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この記事を書いた人

TEXAL管理人。学校の授業でMS-DOSを使っていたくらいの年代。Windows95の登場で衝撃を受け、テクノロジー業界に興味を持つ。以来ガジェット・ゲーム情報を追い続けてうん十年。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題も大好き。

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