蚊の嗅覚機構は冗長化されており、一部を失っても臭いをとらえる能力を失わないことが明らかに

夏のこの時期、屋外で悩まされるのは暑さだけではなく、虫刺されもあるだろう。特に蚊は厄介で、気付いて追い払ってもすぐにまた戻ってきてしつこく刺そうとするので、締め出すか、場合によっては叩いて潰すこともあるかも知れない。

どうしてこんなに蚊はしつこいのだろうかと思ったことはないだろうか?簡単に追い払う方法があればと思うが、払いのけて逃げても追いかけてくるその執念深さからは、どうやら逃れる術はないようだということが、今回新たな研究によって明らかになった。

米国、ロックフェラー大学の研究グループによると、メスの蚊から、人間の匂いに関する受容体をブロック/除去してみたところ、この蚊はそれでもまだ人間の匂いを嗅ぐことができるということが判明した。この研究はまた、昆虫がこれまで知られていたよりも高度な嗅覚系を持っていることを実証している。

通常、メスの蚊は、人間や他の動物が発する匂いを頼りに、卵に栄養を与えるために必要な血液を探し当てていることが分かっている。彼らは、主に触角にある嗅覚神経細胞を通じて匂いを拾い、匂いの情報を検知して脳に伝達している。しかし、今回の研究結果はかなり驚くべきものだ。

「もし人間が、ある一つの臭気物質受容体を失うと、その受容体を発現する全てのニューロンが、その臭いを嗅ぐ能力を失います」と、ロックフェラー大学ハワード・ヒューズ医学研究所の最高科学責任者であるLeslie Vosshall教授は言う。しかし、蚊はは嗅覚システムが本質的に壊れないように、匂いを解釈するすべてのニューロンが冗長化されているのだ。

科学者はしばしば、昆虫や哺乳類の1:1:1(1ニューロン1レセプター1糸球体モデル)システムで匂いを処理する脳を考えている。各嗅覚神経細胞は1つの匂い受容体を発現し、糸球体として知られる神経終末の1つのクラスターと通信している。

しかし、ある種の生物は糸球体とほぼ同数の嗅覚受容体を持つことが観察されている。例えば、ミツバチは180個:160個、タバコシバンムシは60個:70個である。

この複雑さは脳にまで及んでいることが、研究チームによって明らかにされた。蚊では、脳で多くの重複が見られたとのことだ。

Vosshall教授の研究室の元ポスドクで、現在はボストン大学の助教授であるMeg Younger氏も、驚くべき発見をした。1:1:1ルールでは、蚊は体臭を嗅ぐためのニューロン、受容体、糸球体を1つずつ持ち、二酸化炭素は別の方式で嗅ぐことになっているが、Younger氏は研究の共著者であるMargaret Herre氏と共同で、複数の異なる受容体を持つ個々の臭気ニューロンの証拠を発見したのである。

「意外なことに、1-オクテン-3-オールとアミン受容体を介して人間を検出するニューロンは、別々の集団ではありませんでした」とYounger研究員は語る。このことから、一部の受容体が失われたとしても、人間に関連するすべての臭気が蚊の脳の「人間検知部」を活性化し、フェイルセーフとして機能するのかもしれない。

この結果を受けて、蚊の脳が人間の臭いをどのように処理しているかを理解することで、刺咬行動への介入が可能になり、蚊が媒介する病気の蔓延を抑えることを目指したいと研究者は述べている。

「蚊を殺すにはもっと努力が必要です。なぜなら、たった一つのレセプターを取り除くだけでは効果がないからです。今後、忌避剤などで蚊をコントロールしようとする場合は、蚊の魅力がいかに壊れにくいかを考慮しなければなりません。」と、Vosshall教授は語っている。

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この記事を書いた人

TEXAL管理人。学校の授業でMS-DOSを使っていたくらいの年代。Windows95の登場で衝撃を受け、テクノロジー業界に興味を持つ。以来ガジェット・ゲーム情報を追い続けてうん十年。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題も大好き。

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