SSDの“汚い秘密” – 実はHDDよりも多くの二酸化炭素排出量がある事が判明

NVMe M.2 SSD

SSD(Solid State Drive)は、可動部分を持たずにデータを保存する集積回路だ。これに対し、古くから使われてきたハードディスクドライブ(HDD)は、回転する磁気ディスクに情報を保存する。そのため、SSDはコンピュータ機器の形状や機能に革命をもたらした。例えば、スマートフォンの小型化はSSDによるところも大きいだろう。

SSDの利点は多く、ハードディスクに比べ、小型で機械的にシンプル、データの読み書きが速い。また、エネルギー効率にも優れている。そのため、二酸化炭素排出量も少ないと考えられるが、どうやら実際はそうとも言い切れないようだ。

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現在は、多くのコンピュータ・メーカーやデータセンター運営者が二酸化炭素排出量の削減に取り組んでいる。これは世界的な潮流で、そうなると、企業はより二酸化炭素排出量の少ないデバイスを求め、エネルギー消費量の少ないSSDを選んできた。

しかし、単純にエネルギー消費効率だけでは二酸化炭素排出量は語れない。ウィスコンシン大学のSwamit Tannu氏とブリティッシュコロンビア大学のPrashant Nair氏は“SSDには汚い秘密がある”と述べている。

Tannu氏とNair氏が、SSDの全ライフサイクルにおけるギガバイト単位のカーボンフットプリントを測定したところ、予想に反して、SSDの方が圧倒的に生涯二酸化炭素排出量が多い事が判明した。SSDと比較すると、HDDの二酸化炭素コストは少なくとも1桁低くなっているとのことだ。

カーボンフットプリントで比較すると判明する“SSDの汚さ”

Tannu氏とNair氏は、これらのデバイスの推定寿命である10年を通じて排出される二酸化炭素の量を合計することによって、この結論を導き出した。これには、製造時、稼働時、輸送時、廃棄時に排出される炭素が含まれる。

動作時に排出される二酸化炭素は簡単に計算できる。データの読み書きには、SSDが1.3Wであるのに対し、HDDは4.2Wを消費する。1テラバイトのHDDが10年使用した場合、159キログラムの二酸化炭素を排出すると計算される。一方、1テラバイトのSSDは10年間で49.2kgしか排出しない。

しかし、SSDの製造では、より多くの二酸化炭素を排出する。これは、SSDのチップ製造設備が多くのエネルギーを要するからだ。また、より大きなメモリはより多くのチップを必要とし、それに応じてカーボンフットプリントも増加する。

このように、SSDは製造に際して多くの二酸化炭素排出が伴う。Tannu氏とNair氏は、1テラバイトのSSDを製造する場合、320kg相当の二酸化炭素を排出すると計算している。それに対して、同じようなHDDの排出量はわずか40kgとのことだ。

つまり、1テラバイトのSSDのカーボンフットプリントは、二酸化炭素換算で369.2kgであり、HDDは199kgとなる。つまり、HDDの方がはるかにクリーンなのだ。

これは直感に反する結果となるが、重要な事実となる。少なくとも、コンピューターメーカーやクラウドデータストレージ事業者は、SSDとHDDの使い分けを見直す必要が生まれる可能性がある。

こうした生産時の排出量の多さを長期的にカバーするためには、SSDの寿命をさらに向上させる必要がある。そのために、研究グループは、主に記憶媒体メーカーを対象に、4つの可能なアプローチを紹介している。

例えば、MLC(Mutli-Level Cell)ではなく、SLC(Single-Level Cell)を使用することだ。ただ、これはコスト的な観点からかなり難しい可能性もある。また、廃棄されたMLCデバイスをリサイクルし、容量を落としてSLCとして再利用することも提案している。また、より効率的なエラー訂正(ECC)により、長期的にSSDの寿命を向上させることができるだろう。

しかし、研究においては、速度の面には全く注意が払われていない。SSDは、市販されている最速のHDDよりも、書き込みも読み込みも圧倒的に速いのだ。もちろん、これは気候にも影響し、特にシステムの消費電力の面では、機械式ハードディスクの遅い書き込み・読み出し処理のために、SSDの場合よりもずっと長く稼働しなければならない。

この点について、Tannu氏とNair氏は、自分たちの分析が考慮に入れていない他の要因があることを苦心して指摘している。特に、SSDが全体的な性能に与える影響については、今回の分析では考慮されていないという。

とはいえ、この調査から得られる明確なメッセージは、コンピュータに関連するあらゆる操作の二酸化炭素排出量は、コンピュータの電源が入っている間に排出される二酸化炭素以外の多くの要因に依存するということだ。実際、これは比較的小さな割合であることが判明している。このことは、将来的にこれらのシステムの二酸化炭素コストを削減するためには、より大局的に見る必要があり、その削減の可能性は大きくなる可能性があることを示唆している。

IT産業は世界の炭素排出量の2%を占めており、今後10年間でこの排出量は2倍になると予想されているため、このような新しい考え方が早急に必要になってくるだろう。

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この記事を書いた人

TEXAL管理人。学校の授業でMS-DOSを使っていたくらいの年代。Windows95の登場で衝撃を受け、テクノロジー業界に興味を持つ。以来ガジェット・ゲーム情報を追い続けてうん十年。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題も大好き。

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