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Appleがリリースした自分の家の中を丸ごと3Dマッピングできるツールがすごすぎる

仮想現実や拡張現実に関して、恐らく熱心に取り組んでいるのではあるだろうが、あまり積極的に発信してこなかったAppleは、WWDC 2022でもAR/VRについてほとんど言及していなかった。ただし、同社がひっそりとリリースした3Dルームマッピングツールは、同社の底知れぬ技術力の一端を再確認するのにこれ以上ない程の説得力を持った物だった。

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ARアプリの機能を拡張することが出来るAPI「RoomPlan」

RoomPlan」と名付けられたARKit Swift APIは、最近のiPhoneやiPadに搭載されているカメラとLiDARスキャナーを使って、部屋の寸法や家具の種類などを自動的に計測し、部屋の3Dマップを作成することができる。

これは一般ユーザー向けではなく、Appleによれば、コンセプトの検討やプランニングを行う建築デザイナーやインテリアデザイナーなどの専門家、また不動産、eコマース、ホスピタリティなどのアプリの開発者にアピールすることを目指しており、開発者は自分のAR対応アプリにRoomPlanを直接統合することができるとのことだ。

空間コンピューティング企業EveryPointのチーフエバンジェリストであるJonathan Stephens氏が、このRoomPlanで何が出来るのかをTwitterに投稿している。実際にご覧頂くのが1番だが、その機能は驚異的な物だった。

RoomPlanは、鏡だけでなく、雑然とした空間、開いたり閉じたりするドア、窓、一般的に複雑な建築など、従来では再現が難しかった状況にも上手く対応出来るようだ。とはいえ、Stephens氏の家が複雑な構造をしている事もあり、一部は現実の空間と齟齬が生じてしまっている。

ただ、スキャンしながら2階から1階に下りると、部屋の壁が高くなり、ベッドなどのオブジェクトは空中に浮いているようになってしまったようだ。どうやら複数階層には対応しておらず、吹き抜けなどは再現するのが難しかったようだが、ある程度常識的な部屋の状態を自動で補正して再現してくれる機能はあるようだ。

RoomPlanは、アプリの統合のためだけに用意されているわけではないようだ。Appleによると、壁やキャビネットなど、部屋の中で認識された各コンポーネントの寸法と、検出された家具の種類が含まれたUSDまたはUSDZファイル形式でデータを出力することもできるという。

スキャンの微調整をしたい場合は、Cinema 4D、Shapr3D、AutoCADなど、さまざまなUSDZ対応ツールにエクスポートする際に、個々の部品の寸法と配置を調整できるとのことだ。

噂のAR/VRヘッドセットARメガネの発売時期についてはまだ不明だが、ARやMRのヘッドセットには極めて強力な空間マッピング機能が必要になる。Appleが既存のプラットフォームを使ってこの種の進歩を遂げるのを見ると、少なくともAppleの開発は進んでいることが確認出来るはずだ。

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masapoco

TEXAL管理人。中学生の時にWindows95を使っていたくらいの年齢。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題が得意だが、テクノロジー関係の話題も大好き。最近は半導体関連に特に興味あり。アニメ・ゲーム・文学も好き。最近の推しは、アニメ『サマータイムレンダ』

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