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GlucoModicum社による画期的技術がスマートウォッチによる血糖値測定への道を切り開く

先日、Appleが「Apple Watchへの血糖値測定機能の追加について研究している」事について報じたが、この度フィンランドのGlucoModicum社が、針を使わない血糖値測定技術について、興味深い発表を行っている。同社は、針を用いたこれまでの血糖値測定と同等の精度を持つ非侵襲的な(針を用いない)血糖値モニターを開発することを目指しているとのことだ。

この記事の要点
  • 針を使わない血糖値測定の画期的技術がフィンランドのGlucoModicum社から発表された。
  • 同技術は、磁気流体力学を応用することで、針を用いる測定と同程度の精度で血糖値を測定することが出来るという。
  • 既にスマートウォッチタイプの試作品も公開されている。

ヘルシンキ大学出身のスタートアップが針を使わない血糖値測定の画期的技術を開発

世界中の何百万人もの糖尿病患者が安全に使用できる、針を使わず痛みを伴わない血糖値測定法に関して、フィンランドのヘルシンキ大学からスピンオフしたGlucoModicum社から驚くべき発表がもたらされた。GlucoModicum社は、現在磁気流体力学(Magnetohydrodynamics : MHD)に基づく測定技術、物理的バイオセンサー(「Talisman」)、ウェアラブル持続血糖モニタリング(「Flint CGM」)の開発に取り組んでいるという。

Biosensors and Bioelectronics誌に掲載されたデータでは、「磁気流体力学的抽出と血糖値測定を組み合わせることで、非侵襲的な血糖値測定のためのウェアラブルデバイスの可能性を提示することが出来る」という結論に至ったようだ。

レポートの一部ではこのように述べられている。

皮膚を通して間質液を磁気流体力学的に抽出する分野と統合バイオセンサーを開発することで、糖尿病管理を必要とする人々の血糖値モニターとして、針やマイクロニードルを使わない新しいクラスの医療デバイスが誕生することになります。

Biosensors and Bioelectronicsに掲載されたGlucoModicum社の論文より

GlucoModicumのMHD技術は、グルコース分子の読み取りが精密で正確であることが確認されている。針を使わない血糖値モニターに取り組む他の企業と同様、細胞や血管の間を流れる間質液に着目している。同社が指摘するように、同様の技術は、これまでにもマイクロポンプなどのデバイスで使用されてきた。

GlucoModicumは、MHD技術で動作し、糖尿病患者のために、正確な血糖値測定を行うのに必要となるデータを取得する、「Talisman」センサーを含む包括的な製品を提供したいと考えている。例として、同社のウェブサイトでは、典型的なスマートウォッチのように見える「Flint CGM(Continuous Glucose Monitoring)」も公開されている。現時点では、コストや発売日などの具体的な内容は不明だが、コンパクトかつ手頃な価格のデバイスとなる予定だ。

このデバイスの臨床試験は好評で、ある参加者は「指で刺して行う複数の血液サンプルと同等の精度で血糖値を測定できた」とコメントしている。GlucoModicumは、それぞれのコンポーネントをネットワークに接続し、血糖値のデータをクラウド経由で継続的に観察・確認できるようにしたいとしている。この非侵襲的な血糖値モニターは、これまでに提供されたソリューションの中で最も有望なもののひとつと言えるだろう。

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masapoco

TEXAL管理人。中学生の時にWindows95を使っていたくらいの年齢。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題が得意だが、テクノロジー関係の話題も大好き。最近は半導体関連に特に興味あり。アニメ・ゲーム・文学も好き。最近の推しは、アニメ『サマータイムレンダ』

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